英語力をはかる試験学習のために英語力向上を目指す矛盾
この記事の読書対象者は、
- 日本語を母国語としている
- 英語でUSCMA試験を受験しようとしている
- にもかかわらず、英語に苦手意識を持っている
の三条件がピッタリ当てはまる人を想定しています。
転職やキャリアアップのために、英語力と会計力の双方の実力を客観的に第三者に証明する手段として、USCMAの合格は大変効果的でしょう。
しかし同時に、USCMA合格で、英語力×会計力 の実力評価を求める人の中には、英語力にそれほど自信がない人(筆者も当然含みます)が多いことも事実です。
むしろ、英語力に自信がないからこそ、USCMA合格に向けた試験勉強を通じて、それ相応の英語力を身につけることも、受験勉強の目的に含まれているといっても過言でもないでしょう。
バイリンガルだから、英語が得意だから、USCMAの合格でもっと自分の長所をアピールしようという人と、USCMAの合格でもって、コンプレックスであった英語を克服しよう、という層が、USCMA受験者の中にはみられる、と考えるのは筆者の単なる思い過ごしでしょうか?
ここに、英語力が試される試験なのに、英語力に自信のない受験者が実在する矛盾の真因が隠されていると思います。
ですので、以下で、どのように英語スキル不足を克服して、とりあえずUSCMA合格を勝ち取ることができたか、個人的な体験を皆さんにも共有したいと思います。
これだけの英語力があれば合格できるという客観的なモデルは存在しない
「語学」というものは、読み書き・会話を問わず、全くもって個人的な営みであるため、その人の語学力というものは、千差万別で、パターン化することがとても難しいものです。
ですから、これこれの英語力で、これくらいのレベルでUSCMA合格が果たせる、とする客観的なデータや根拠はないと考えます。
なぜなら、
- 英語力は、その人の母国語のレベルによって左右される
- 筆記試験であるUSCMAが必要とする語彙・語法は、日常会話というより、特定の専門分野に偏っている
- 試験合格は、英語力だけで決まるわけではない
ですので、以下の解説は、筆者の個人的な拙い英語力を、どうやってUSCMA試験合格にもっていったかという「適応力」についての解説になります。
そこには必勝法や、合格レベルとなる英語力の客観的な定義は存在しないことを前提とした説明となります。
個人的なUSCMA合格のための英語力の鍛錬方法
無謀にも、受験勉強を通じた英語力の向上と、どれくらい世間で英語が使えるかの証明を獲得するために、USCMAの受験勉強を開始した筆者にとって、USCMA合格に特化した英語学習スタイルを採ることは必然でした。
まず、USCMA試験の出題形式には、Multiple Choice と、Essay の双方があります。
Multiple choice で必要とされる英語スキルとは
Multiple choice は、3時間で100問を回答する必要があるので、1問あたり平均で1.8分で処理しなければなりません。
専門学校の講師からは口酸っぱくなるくらい、日本人(日本語を母国語としている人の意)は、Essay に時間がかかるから、Muptiple Choice は2.5時間で片づけること、とアドバイスされていたので、これを守るなら、1問あたり 平均1.5分で問題を解く必要があります。
ここで必要とされる英語力は、「速読力」でした。この速読力は、
- 問題文を眺めて、一目で何週目で手を付けるかを判断する
- 実際に、超スピードで問題文を読んで回答を選ぶ
という合格必須パターンを実現するレベルになっている必要があります。
というのは、Muptiple Choice の出題傾向というか、この試験のパターンが次のようなものだからです。
- ネイティブでも、3時間で100問を回答しきるには時間が圧倒的に足りない
- 合格ラインは、実数の正答数(正答割合)ではなく、スケールドスコアによるものである
- よって、他の受験者の正答率が高い容易な問題から順に片付ける必要がある
Essay で必要とされる英語スキルとは
Essay は、制限時間が1時間(Multiple Choice から余裕時間を追加で振り分けることも可能)という短時間で、大問2問(各設問は、4~6の小問に分かれる)にチャレンジする必要があります。
これは、日本語を母国語とする人が、国公立大学の2次試験で、記述式試験にチャレンジするのと同義です。
ノンネイティブが正面作戦でどうにか突破するのには最初から無理があります。
そこで、ここでも Multiple Choice でも必須だった「速読力」から発揮することになります。
- Essay 問題の全てにさっと目を通して、得点できそうな問題の順位付けをする
- 計算問題は、しっかりと、数式を英語で表現して、計算過程を採点者に分かるようにする
- 説明問題は、幼児のような言い回しとボキャブラリであることを恥じずに分かりやすく表現する
上記の1.は、Multiple Choice と同様に、「速読力」を必要とします。2.3.は「表現力」を意味するものです。
次章で、「表現力」をさらに噛み砕いていきます。
ノンネイティブが Essay を通るための英語表現力
USCMA合格を最短で目指すならば、効率的に得点力を上げることのできる英語力を実地で身につける必要があります。
この場合の実地とは、英語を使った実務経験を積む、という意味ではなく、英語を使って、本番さながらの試験対策をする、ということです。
Essay 問題の回答を記述するには、次の2パターンしかありません。
- 計算問題の答えを記述。但し、計算過程(計算式)もすべて採点者が目にできるようにする
- 文章題の答えを文章で回答する。文章は、フレーズ、時には単語でも可
英語による「表現力」は、端的に言うと、回答欄に、①計算式、②説明文 をアウトプットする力です。
英語表記で計算式を表現する方法は、
ROS = Earnings / Sales = (Sales – Cost) / Sales = (100 – 80) / 100 * 100% = 20%
というレベルで十分です。
これは、テキストや問題集に掲載されていて、普段、皆さんが目にすることが多いであろう Multiple Choice の回答解説から、この計算式は覚えておこうと、意識的にメモを取っておけば、いつの間にか身につくことでしょう。
説明文に関する「表現力」はさらに2つの構成要素に分けることができます。
まず、自分が言いたいことをきちんといえる(書ける)ボキャブラリを覚えること。
例:comprise (含む)、conform(準拠する)、price gouging(便乗値上げ)、elastic(弾性)
単語の覚え方は人ぞれぞれなので、ここでは、最適案を提示することはできませんが、自分がやったことは説明できます。
筆者のやり方は、
- テキストを読んで分からなかった用語は蛍光ペンで線を引き、赤字のボールペンで訳を記入
- 既出の用語が読めなかった・分からなかった場合、5mm 方眼紙に英語と日本語訳を記入
- 5mm 方眼紙に記載済みの用語が再び読めなかった・分からなかった場合、下線を引く
つまりこういうことです。自分専用の単語帳を作って、①新しい用語は追加し、②常に全件検索することで暗記を繰り返し、③読めない・理解できない用語のレベリングをする、ということを繰り返していきました。
5mm方眼用紙に単語を書き込んでいくのですが、ここで肝心なのは、用語の登場順にメモし、アルファベット順に並べたり、デジタルを使って容易に編集できなくした点です。
既に書き込み済みだったかを調べるために、常に最初の行(最初のページ)から、新しい用語を追加するたびに、既登録の用語全てに目を通す必要がある方法です。
登録数が増えれば増えるほど、全件チェックの手間がかかるようにわざとしました。これは、人間の脳は、憶えるより、忘れるほうが得意なので、憶えるより、思い出すことを心がけたからです。
(この、暗記法については、別の記事で詳しく解説することにします)
説明文のための「表現力」のもう一つの構成要素は、「文法力」です。受験勉強での、英語構文の知識がここでは役に立ちます。
採点者に点数をもらえる文章を書く
あくまで、USCMAとしての会計技法や経済知識を筆記試験という形式で身につけているかを表現するための英作文に過ぎません。
如何に素晴らしい修飾語をごてごて貼り付けても、論旨が出題意図に沿ったものでなけば、合格ラインに到達することは難しいでしょう。
もし、白紙で出すことになったり、文章を組み立てることができなかったら、キーワードやキーフレーズだけでも記入しておくことをお勧めします。
もちろん、文意が分かる組み立てで文章として記述できるに越したことはありません。
そのためには、予め、文章パターンを頭の中に構築しておきましょう。
「~はどうしてですか?」という問いには、
Because S + V …
「~のメリット・デメリットをそれぞれ(4つずつ)答えよ」
(There are four merits.)
One is that …
The second is that …
The third is that …
The last is that …
「Aは、何をすべきか、理由も答えよ」
A should do … because S + V …
アメリカ人はディベート思考です。
事実認識は、A is X. / A does Y.
価値判断は、B should (must/can) do C because S + V …
と、主張するには最低限の意味を通じさせるためのパターン化された言い回しがあります。
これらは、テキストや問題集を進めていく中で、目につくフレーズや言い回しをメモに意識的に整理しておくとよいでしょう。
専門学校の講師も口を酸っぱくしておっしゃっていたのは、「素晴らしい英文を書こうと、最初から英語を学び直さない」ということです。
英作文の出来栄えで合否が決まる大学受験ではなく、会計技法・マネジメントや経済知識が備わっているかが問われるのがUSCMA試験です。
ですから、稚拙な表現や言い回しを恥じることより、的確な回答ができるかの方が1万倍大事なのです。
以上は、個人的な合格体験から感じた、USCMA試験の最短合格に必要な英語スキルに対するイメージになります。
これが、皆様の最短合格に少しでもお役に立ててれば幸甚です。
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